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この記事は『小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>第20回公募 公募要領(商工会議所地区)(第8版・2026年7月21日)』にもとづいています(2026年11月確認)。
持続化補助金の第20回では、賃金引上げ特例の判定が、事業場内最低賃金の引上げから、従業員1人あたり給与支給総額の増加に変わりました。役員やパートを数えるのか、届かなければどうなるのかが分からず、特例を選べない方は多くいます。結論は、期限日までの12か月の1人あたり給与支給総額を前年同月より3.0%以上増やせるかで判定し、届かなければ補助金全体が交付されません。第20回公募要領の原文で、自社で試算する手順まで整理します。制度全体は持続化補助金 2026で確かめられます。
第20回の賃金引上げ特例は、判定の物差しが「事業場内最低賃金を申請時より+50円以上」から「従業員1人あたり給与支給総額を3.0%以上増やす」に変わりました。比べるのは時給の最低額ではなく、従業員全体の給与の平均です。変わった点は3つあるため、旧要件、新要件、比べる期間の順に確かめます。第19回までの方式で準備していた方は、この切り替えが出発点になります。
第19回の公募要領では、補助事業の終了時点で事業場内最低賃金が申請時より+50円以上であることが要件でした。第19回までの方式で準備していた場合、最低賃金を上げる計画から、給与の平均を上げる計画へ組み直します。
第20回では、従業員1人あたり給与支給総額を3.0%以上増加させることが要件です。年平均とは連続する12か月の平均のことを指します。月ごとの額ではなく、12か月の平均で比べる点が、旧要件との大きな違いです。
比べるのは、補助事業実施期限日を終点とする連続12か月と、その前年同月の12か月です。補助事業実施期限日は2028年3月31日で、概要には2027年4月1日からの期間と前年同月の12か月を比べると書かれています。申請の時点では、どちらの期間もまだ終わっていません。
| 項目 | 第19回 | 第20回 |
|---|---|---|
| 要件 | 事業場内最低賃金が申請時より+50円以上 | 従業員1人あたり給与支給総額を3.0%以上増加 |
| 比べるもの | 事業場内最低賃金の時給 | 12か月の平均の給与 |
| 比べる期間 | 申請時と補助事業の終了時点 | 期限日を終点とする12か月と前年同月の12か月 |
給与支給総額は、従業員に支払った給与等の合計で、給料・賃金・残業代・賞与等は含み、福利厚生費・法定福利費・退職金は除きます。数える従業員は非常勤を含み、代表者・役員・専従者は入れません。押さえる点は3つあるため、含めるもの、数える人、パートの換算の順に確かめます。1人あたりの額は、給与支給総額を従業員数で割って出します。
要領の定義は、給与等のうち給料・賃金・残業代・賞与等を含め、福利厚生費・法定福利費・退職金を除く、という形です。通勤手当や各種手当といった個別の費目は、要領に細かい記載がなく、後日公開の別紙「参考資料」を参照とされています。入れるか迷う費目は、参考資料で確かめてから集計します。

数える従業員は、非常勤を含み、代表者・役員・専従者は含めません。この特例の「従業員」は、申請要件である「常時使用する従業員」とは異なります。申請できるかを判断した人数を、そのまま使わないよう注意します。
パートタイム従業員は、正社員の就業時間に換算して人数を算出します。要領の例では、正社員の就業時間が1日7時間・週35時間の事業者で、1日3時間・週15時間勤務のパートタイム従業員は0.42人(3÷7の小数点以下第3位を切り捨て)です。正社員の就業時間が違えば、割る数も変わります。換算した人数を、従業員数に加えて1人あたりの額を求めます。
期間の途中で入社・退職した従業員は、全月分の給与を受けていない期間の算出から外れるため、入れ替わりがあると1人あたりの額が想定とは違って動きます。算定の対象になる従業員がいない月があると、特例の対象外になります。入れ替わりで動く場面は3つあるため、順に確かめます。判定は12か月の平均で行うため、期間の途中の変化が結果に響きます。1人の入れ替わりでも、平均は動く仕組みです。
中途採用や退職などで、いずれかの期間に全月分の給与等の支給を受けていない従業員は、その期間の算出対象から除かれます。要領は「当該期間」の算出対象から除外すると書いています。比べる2つの期間ごとに、対象の人が変わる点に注意します。
産前・産後休業、育児休業、介護休業など事業者の福利厚生等により時短勤務を行っている従業員は、算出対象から除くことができます。要領は「除くことができます」と書いており、除かなければならないとは書いていません。
昇給や減給、残業時間の増減などで給与が変動する従業員も、算出の対象になります。さらに、比べる期間のいずれかの月で算定対象の従業員がいない場合は、1人あたり給与支給総額を算出できないため、特例の対象外です。
事務局の実務から
事務局の実務では、1人あたりの平均で判定する賃上げの要件は、期間の途中の入社・退職で数字が動くことが見落とされやすい点です。給与に何を含めるかを思い込みで決めて計算すると、あとで賃金台帳と合わなくなりやすくなります。採用や退職の予定が見えている場合は、申請の前に公募要領の定義どおりに試算しておくと、要件に届くかを早めに確かめられます。
試算は4つの段取りで進めます。比べる期間を決め、期間ごとに全月分の給与を受けた従業員を拾います。パートを換算して1人あたりの額を出し、前の期間と比べます。全月分の給与を受けていない従業員は、その期間の算出から外すのが要点です。申請の前にこの順で賃金台帳を集計すれば、3.0%に届くか、届かないなら何を見直すかが見えてきます。各手順では、上で見た定義をそのまま使います。
比べるのは、補助事業実施期限日(2028年3月31日)を終点とする連続12か月と、その前年同月の12か月です。申請の時点では、どちらの期間もまだ終わっていません。今ある賃金台帳と、昇給や採用の予定から、両方の期間の見込みを出します。
前の期間と後の期間で、それぞれ全月分の給与等の支給を受けた従業員を拾います。いずれかの期間で全月分を受けていない従業員は、その期間の算出対象から外します。代表者・役員・専従者は、どちらの期間にも入れません。
パートタイム従業員は、正社員の就業時間に換算した人数で数え、期間ごとの給与支給総額を従業員数で割ります。人数の換算は、要領の例のとおり小数点以下第3位を切り捨てます。上昇率の丸め方は要領に書かれていないため、判定の近くまで届いたときは、事務局の案内で確かめます。
式は、(後の期間の1人あたり額−前の期間の1人あたり額)÷前の期間の1人あたり額です。この値が3.0%以上で、表明した目標値に届けば、給与支給総額の要件に届きます(事業場内最低賃金が地域別最低賃金以上であることも必要です)。届かない見込みなら、昇給の幅や採用の時期を見直して、もう一度試算します。

たとえば従業員が数名の小売業で、比べる期間の途中に正社員が退職し、代わりにパートが入る場合を考えます。退職した人は退職した期間の算出から、途中で入った人は入社した期間の算出から外れ、期間ごとに対象の人が変わります。採用の時期や昇給の予定を先に表にして試算すれば、3.0%に届くかが申請の前に見えてきます。自社の数字を確かめたい方は、無料相談をご利用ください。
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手続は3つの時点に分かれます。申請時は申請画面で特例を選び、採択後から交付決定までに目標値の表明と賃金台帳の提出を行い、実績報告時に期限日までの賃金台帳で達成を示します。目標値の表明は、採択後から交付決定までに行います。申請時の手続に、賃金台帳の提出は書かれていません。達成したかどうかは、実績報告の時点で確かめられます。
| 時点 | すること | 出す書類 |
|---|---|---|
| 申請時 | 申請画面で賃金引上げ特例を選び、誓約・同意書にチェックする。補助事業終了予定日を2028年3月31日に設定する | 賃金台帳の提出は書かれていない。赤字事業者は法人税申告書の別表一・別表四(個人は確定申告書第一表)の写し |
| 採択後から交付決定まで | 基準値の算出、目標値の設定、従業員への表明 | 採択発表日の属する月を終点とする12か月分の賃金台帳の写し、雇用条件(1日の所定労働時間・年間休日)が書かれた書類の写し(雇用契約書・労働条件通知書等) |
| 実績報告時 | 目標値の達成を示す | 期限日を終点とする12か月分の賃金台帳の写し、賃上げ後の雇用条件が書かれた書類の写し |
申請情報の入力画面で、賃金引上げ特例(補助上限に150万円上乗せ)を選択し、誓約・同意書(様式7)にチェックします。補助事業終了予定日は、補助事業実施期限日の2028年3月31日に設定します。賃金台帳は、次の採択後の手続で出します。
採択後から交付決定までに、基準値の算出と目標値の設定を行い、全従業員または従業員代表者、役員に表明します。あわせて、採択発表日の属する月を終点とする連続12か月分の賃金台帳の写しと、雇用条件(1日の所定労働時間、年間休日)が書かれた雇用契約書・労働条件通知書等の写しを提出します。
実績報告時には、補助事業実施期限日を終点とする連続12か月分の、労働基準法に基づく賃金台帳と、賃上げ後の雇用条件の書類を出します。補助事業実施場所の全従業員分が必要で、役員と専従者は除きます。
要件を1つでも満たさないと、上乗せ分だけでなく補助金全体が交付されません。実績報告までに従業員の退職などで1人あたりの上昇率を出せなくなった場合も、交付されません。さらに、未達の報告から18か月は、中小企業庁が所管する補助金の申請で、正当な理由が認められない限り大きく減点されます。上乗せの150万円が受けられないだけでは済まない点が、特例の重さです。
通常枠と賃金引上げ特例の要件を1つでも満たさない場合は、補助金は交付されません。特例による上乗せ部分のみではなく、全体が交付対象外となります。比較する期間を通じて、支給している事業場内最低賃金が地域別最低賃金以上であることも必要です。
申請時に要件を満たしていても、実績報告時までに従業員が退職するなどして、1人あたり給与支給総額の年平均上昇率を算出できなくなると、補助金は交付されません。従業員が少ない事業者は、退職の予定を申請の前に確かめます。
賃上げ要件を達成できなかった場合、未達が報告されてから18か月の間、中小企業庁が所管する補助金の申請では、正当な理由が認められない限り大きく減点されます。災害で著しい損失を受けた場合など、やむを得ず達成できなかったときは、事業効果および賃金引上げ等状況報告書(様式第14)を出す時に理由を説明し、認められれば減点が免除されます。
注意:未達のときは、上乗せ分の150万円だけでなく、通常枠の補助金も含めた全体が交付されません。特例を選ぶ前に、自社の数字で3.0%に届く見込みと、届かなかったときの影響を先に見積もります。
特例を選ぶかは、上乗せの150万円が要る投資か、自社の数字で3.0%に届く見込みがあるか、届かなかったときの重さを受け止められるかの3点で決めます。特例を選ぶと賃金引上げ加点が自動で付きます。赤字事業者は、申請時に「賃金引上げ特例(赤字事業者)」を選び課税所得の書類を出すと、補助率が3/4になります。届かなかったときは補助金全体を失う点を、最初に比べます。あわせて比べる点は、加点、赤字事業者の補助率、相談先の3つです。

賃金引上げ特例を希望した場合、賃金引上げ加点が自動的に適用されます。この加点は、年平均2.0%以上増加した事業者に対し、採択審査時に政策的観点から加えるものです。特例の判定が3.0%、加点が2.0%と、同じ1人あたり給与支給総額でも求める率が違う点を押さえます。加点の選び方は、持続化補助金の加点の選び方で確かめられます。
補助率は2/3で、賃金引上げ特例のうち赤字事業者は3/4です。赤字事業者とは、直近1期または直近1年間の課税所得金額がゼロ以下の事業者を指し、赤字賃上げ加点が適用されるため、優先採択が行われます。申請時に、申請情報入力画面の「希望する特例の選択」で賃金引上げ特例(赤字事業者)を選び、法人は直近1期の法人税申告書の別表一・別表四の写し、個人事業主は直近1年の確定申告書第一表の写しを出します。課税所得金額がゼロ以下に当たるかの判断は、顧問の税理士か税務署に確かめます。上乗せ額の一覧は、持続化補助金 2026で確かめられます。
自分で試算する場合は、前の見出しの4つの段取りで、賃金台帳から数字を出します。賃金台帳を持って専門家と確かめる場合は、数え方の判断や見込みの置き方を一緒に確認できます。どちらでも、申請の判断と事業計画は申請者自身のものです。エムアイエスの支援は、計画づくりの支援、内容の確認、手続きの案内です。制度全体と締切は、持続化補助金 2026で確かめてから進めます。
A. 第19回は、補助事業の終了時点で事業場内最低賃金が申請時より+50円以上であることが要件でした。第20回では、従業員1人あたり給与支給総額を3.0%以上増加させることが要件です。
A. 給料・賃金・残業代・賞与等は含み、福利厚生費・法定福利費・退職金は除きます。代表者・役員・専従者は従業員に含めません。個別の費目は、後日公開の別紙「参考資料」で確かめます。
A. 正社員の就業時間に換算して人数を算出します。要領の例では、正社員の就業時間が1日7時間・週35時間の事業者で、1日3時間・週15時間勤務のパートタイム従業員は0.42人(3÷7の小数点以下第3位を切り捨て)です。換算した人数を従業員数に入れて、1人あたりの額を求めます。
A. いいえ、上乗せ部分だけでなく補助金全体が交付されません。未達が報告されてから18か月は、中小企業庁が所管する補助金の申請で減点されます。
A. 申請時の手続に賃金台帳の提出は書かれていません。採択後から交付決定までに、12か月分の賃金台帳を出します。
第20回の賃金引上げ特例は、補助事業実施期限日までの12か月の1人あたり給与支給総額を、前年同月の12か月より3.0%以上増やせるかで判定します。第19回までの事業場内最低賃金+50円とは物差しが違い、届かなければ補助金全体が交付されません。
給与支給総額には給料・賃金・残業代・賞与等を含め、代表者・役員・専従者は数えません。パートは換算し、期間の途中の入社・退職は、その期間の算出から外れる点に注意します。
次の行動は、賃金台帳を用意し、比べる期間ごとに4つの段取りで試算することです。公募要領の賃金引上げ特例の適用要件の項と、別紙「参考資料」で数え方を確かめてから、特例を選ぶか決めます。数字に迷うときは、無料相談で一緒に確かめられます。
賃金引上げ特例を選ぶ前に、比べる期間と数える従業員を整理し、自社の数字で試算します。数え方や見込みの置き方に迷うときは、無料相談をご利用ください。
※本記事は2026年11月時点で公表されている公募要領・公式サイトの情報をもとに作成しています。要件・日程・補助額は変わることがあります。申請の前に、必ず最新の公募要領をご確認ください。
執筆:補助金サポートセンター編集部
山口県山口市(旧:阿知須町)生まれ 山口県立山口高校、立命館大学経済学部卒業
大学卒業後、山口県中小企業団体中央会に入職。補助金の申請支援に約15年携わり、うち10年は ものづくり補助金の事務局の運営を経験。
2022年5月に独立し、株式会社Management Intelligence Service(現:株式会社エムアイエス)を立ち上げる。支援実績2,000件超。自らのM&A経験を活かした企業へのM&A支援も得意とする。
「山口県から日本を元気にする経営コンサルタント」を合言葉に、山口県内の企業はもちろんのこと、県外企業へのコンサルティングも積極的におこなっている。
〈保有資格・認定〉
中小企業診断士
応用情報技術者
〈所属・会員情報〉
山口県中小企業診断士協会 正会員
山口県中小企業組合士会 正会員
山口県中小企業家同友会 正会員